KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年4月号
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「自分からプロ野球選手だったことは言わないですよ。それで美味しくなったりしないですから…」。かつて阪神タイガースでプレーした多岐篤司さんは厨房で日夜戦う。1968年生まれ、西宮市育ち。兄の影響で野球をはじめ中学時代は、縦縞のユニホームに憧れ「兵庫タイガース」に所属。甲子園球場にも足繁く通い高校野球を観戦した。神戸弘陵学園高校へ進学すると頭角を現し地域の「ナンバーワン左腕」としてプロ注目の存在になった。1986年のドラフト会議では阪神から4位指名を受け入団。「日本一の余韻が残るチーム、テレビで観るような人に囲まれ戸惑った」と当時を振り返る。2年目にはアメリカでの野球留学も経験。投球フォームや変化球を磨き技巧派投手として1軍のマウンドにも上がった。怪我に悩まされた野球人生だったが9年間に渡り在籍。引退後は、義父の営む鮮魚卸売会社を手伝い第二の人生を歩んだ。5年前、転機が訪れる。高校時代のチームメイトで『乃が美』社長の阪上雄司さんから打診があり『乃が美 はなれ』神戸三宮店のオーナーに就任。現在は、神戸元町、イオンモール神戸北、三田にも店舗を拡大している。「発酵で甘さを引き出しておりサンドイッチにも最適です。冷凍しても水分が抜けず美味しいですよ」。大観衆が見つめる巨人戦でナイターの照明を浴びながら投げたあの時。聖地での思い出を胸に新たなユニホームで現場に立ち続ける。あの日あの頃、いつの時代も白球のそばにはドラマがある。このコーナーでは京阪神の野球にまつわる様々なエピソードをご紹介します。Vol.2 こだわりの高級食パンを多くの人に知って欲しい元阪神タイガース・多岐篤司さんの挑戦(左)高級「生」食パン専門店を手掛ける多岐篤司さん(右)野球を通じて多くの人と繋がることができた素材と製法にこだわった逸品■『乃が美 はなれ』神戸三宮店神戸市中央区八幡通4-2-18【電】078-232-3056【HP】https://nogaminopan.com/shop/sannomiya/ 連載コラム 「球きゅうゆうさいかい友再会」   文・写真/岡力<コラムニスト> 101

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