KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年4月号
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harmonyvol.50はーもにぃ公益社団法人家庭養護促進協会事務局長橋本 明抱え込まないノーリフトケアとは?愛の手運動は親に育てられない子どもたちに、里親・養親を求める運動です。募金箱の設置にご協力いただける方は協会にご連絡ください。公益社団法人 家庭養護促進協会 神戸事務所神戸市中央区橘通3-4-1 神戸市総合福祉センター2FTEL.078-341-5046 https://ainote-kobe.orgE-MAIL:ainote@kjd.biglobe.ne.jp介護施設や病院で介助者の腰痛による離職、休職、労災申請は後を絶ちません。それは抱え込む介助する側の身体への負担は避けられないからです。なんとかこの状態を改善できないかという取り組みの一つが、「介助をされる人の移乗を介護者が抱え込まずにリフトなどの福祉用具を使うこと」です。このリフトを使った移乗の介助方法をオーストラリアに留学中に知った看護師の保田淳子さんは日本に帰国後、2009年に神戸に「日本ノーリフト協会」を立ち上げました。ノーリフトを導入する前にはオーストラリアのビクトリア州で110件あった腰痛の労災申請は、導入後1年で68件に減り、費用対効果は66%の削減でした。患者側にも皮膚損傷、不快感、転倒転落の危険が減り、寝たきりによる合併症の予防になると言ったメリットが報告されているそうです。しかし、保田さんが日本で立ち上げたころはまだ福祉用具が移乗に使用されているところは少なく、ノーリフトについての理解も余りありませんでした。そこで理解を広めるために東京大学と協働でオーストラリアのプログラムを参考にして「日本版ノーリフトケアコーディネーター養成講座」を始め、腰痛予防対策を科学的に研究し、人材の育成や意識改革に取り組みました。2017年からは「腰痛予防対策指針全国セミナー」を全国47都道府県で開催。2020年には神戸で海外からも講師を招き、「ノーリフトケア2020国際シンポジウム」を開催。ノーリフトの活動は少しずつ拡がり、支部も北海道から九州まで9箇所に増えました。ノーリフトケアの理念や実践が拡がれば、腰痛による求職者や退職者が減り、人材不足の解消、働きやすい環境作りにもつながっていきます。同時にケアの質や、要介護者の自立への意識も高まり、日本のケアの文化も変わっていくことが期待されます。■ノーリフトケアについての お問い合わせ一般社団法人 日本ノーリフト協会神戸市兵庫区駅南通5-1-2 健康ライフプラザ5階TEL・078-862-8503FAX・078-862-8508100

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