―手術後も「なるべく早く」なのですね。ICU(集中治療室)に入った手術後の患者さんや重症患者さんも可能と判断した場合は、最低限「座る」という動作からリハビリを始めます。月曜から金曜まで毎日、リハビリテーション科と集中治療科の専門医、理学療法士、看護師、栄養士が回診し、どういうリハビリが可能なのかをカンファレンスをします。このICUリハビリは神大病院の先進的な取り組みの一つです。―ICUでは安静にしなくてはいけないというイメージがあります。もちろん安静が必要な場合もあります。しかし基本的に人間は動いているものですから、できるだけ安静にはならないほうがいいんです。安静は楽ですが、足腰が弱って大変なことになります。―歩くことは大切なのですね。たとえ、がんになっても。日中の活動時間のうち半分はベッドから離れて生活ができないと、抗がん剤治療の適用基準から外れてしまうことがあります。ですから、寝たきりになるわけにはいかないのです。がん患者さんには元気に歩いて通院し、可能な限りの治療を受けてもらわなくてはいけません。そして、みんなと同じように仕事もする。がんになってしまったら病室で点滴を受けながら最期の時を迎えるしかない、そんな時代は終わりました。今は、がんと共に生きる時代です。―患者さんに理解してもらうのは難しいこともあるのでは。「しんどいのにスポーツジムみたいなことをやるの?」と思う患者さんもおられるかもしれませんね(笑)。しかし高齢化社会で手術を受ける患者さんも高齢の方が多くなり、体力が衰えていますからリハビリの必要性はさらに高まっています。主治医の先生方にもよく理解いただいていますので、専門医や理学療法士と一緒に根気よく説明して進めています。―どこの病院でもがんリハビリは取り入れられているのですか。がんリハビリは保険適用が認められ、かなり社会に浸透してきましたが、まだ「どこの病院でも」という状況ではないようです。「社会復帰する」ためのがんリハビリから「緩和ケアを見据えて、介護する人の立場まで考慮する」ためのリハビリまで。ここまで積極的に取り組んでいるのは神大病院の魅力の一つだと思います。また、がんの手術が決まった患者さんにポートアイランドの神戸大学医学部附属のICCRC(国際がん医療・研究センター)リハビリテーション室に2週間入院してもらって、集中的にリハビリと生活習慣指導を受けてもらうという研究を兼ねた体制も整え始めています。―神大病院の整形外科はスポーツ選手もたくさん受診90
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