KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年3月号
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面接で意欲を語る学生が多くいます。実際に、大学生時代に某テレビ局が主催する「鳥人間コンテスト」に出場していた工学部の学生が、航空機の設計を希望して入社してきているんですよ。―川西航空機時代から御社の航空機設計を支えた菊原静男さんが、従来の常識を覆す高性能を誇る「紫電改」や「二式飛行艇」を設計されたり、創業者の川西清兵衛さん、龍三さん親子が経営陣と築きあげた〝川西イズム〟は、今も健在ですね。五十川 先ほど紹介した学生は、現在、当社の社員として、新プロジェクトの一つ、固定翼の無人ドローンの研究開発に取り組んでいます。この固定翼型無人航空機「XU―S」(全長約2・5メートル、全幅約6メートル)は、海洋観測や通信、監視などの場面での実運用を目指して、新潟市や兵庫県淡路市などの自治体と連携して実証実験などを行っています。この機体が実用に供される日は近いと期待しています。―将来へ向けて、御社が目指す方向性をお聞かせください。五十川 「US―2」が高さ3メートルの波に向かって着水する際、その衝撃を受け流すために機首の船形の部分は特殊な加工を施しています。どれほど科学が発達し、コンピューターなどによる自動制御の技術が進んでも、この最後の工程の加工は、新明和の〝匠〟と呼ばれる技術者による手づくりの技術なのです。菊原静男氏は、かねて「欧米の模倣ではない独自技術」の大切さを訴えていました。代々、新明和で受け継がれてきた、この〝独立自尊〟のものづくりの精神を根底に、未来社会へ対応した〝価値共創(協働して新たな価値を創造していく)企業〟を目指していきたい、そう考えています。固定翼型無人航空機「XU―S」天才エンジニア・菊原静男。122ページ「神戸偉人伝外伝㉓」で紹介新明和工業株式会社兵庫県宝塚市新明和町1-1TEL.0798-56-5000ウェブサイトFacebookInstagramYouTube31

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