五十川 現在、初号機から数えて8機目となる「US―2」を甲南工場で製造しており、間もなく完成時期を迎えます。この春には、山口県にある海上自衛隊の岩国航空基地に納入する予定です。―航続距離4700キロの長距離飛行が可能で、約3メートルの波の高さでも着水可能な飛行艇は、「US―2」の他に、米露中を含め世界のどの国にも存在しません。したがって、海外からの関心も高いと聞きます。五十川 インド政府が「US―2」に強い関心を示し、2013年から日本政府と交渉を進めていたのですが、残念ながら、具体的な進展には至っ787の需要も減ってしまい、その影響をまともに受け、今も生産機数は回復していません。―他の部門についてはいかがでしょうか?五十川 新明和工業は5つの事業部制をとっています。航空機事業のほか、機械式駐車設備や航空旅客搭乗橋を扱うパーキングシステム事業、ダンプトラックや塵芥車などを扱う特装車事業、水中ポンプなどの下水処理機器を扱う流体事業、産業機器や環境関連のプラントを扱う産機システム事業を有しており、これら4つの事業は、それぞれ、インフラ(インフラストラクチャー=社会基盤)と密接につながっています。幸い、コロナ禍にあってもインフラの重要性は変わることなく、これら4つの事業に関しては、堅調な業績を維持しています。―新明和工業は前身の川西航空機(1928年創業)から現在に至るまで、一貫して航空機を作り続けてきました。海上自衛隊に納入している「US―2」の現状について教えてください。川西航空機㈱初代社長・川西龍三ボーイング社 中型航空機「787」主翼スパー塵芥車リヤダンプトラック唯一無二の航空機開発技術28
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