KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年3月号
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は軽いですが、重いものを軽く描くことで、その本質に迫ります。一方、僕のポップは軽いように見えますが結構重いはずです。ポップは60年代の現代美術を象徴する美意識ですが、日本にはポップは根付かなかったと言われています。が、それは評論家の意見で、実際には何人かの日本のポップアーティストが出現していたのです。僕もその中の一人ですが、評論家も美術ジャーナリズムも、それを認めようとはしませんでした。そんな数人の日本のポップアーティストは、50年後にアメリカやイギリスの美術館の学芸員によって認められ、初めて、海外に紹介されました。その事実に対して日本の評論家はただ沈黙を守るだけです。日本人が日本人の足を引っ張る傾向は、美術に限らず他のジャンルも同じようなことが起っているような気がします。日本人が日本人を世界に先がけて評価することに怠慢というか恐れているので「横尾忠則展 わたしのポップと戦争」ポップ作品群 会場風景 2016年18

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