は行いつつ、緩和ケアチームの業務も兼務しているケースも多くあります。一方、独立した診療科として緩和ケア部門を持つ病院も多くなってきています。そういった意味では、パイオニアという立ち位置ではありませんが、神戸大学病院緩和支持治療科は「一つの専門分野として、しっかり緩和ケアに取り組んでいる」ということは胸を張って言えます。―心掛けておられることは。私たちは幅広い知識を持ち、緩和ケアがカバーする広い領域に対応できるトレーニングを受けています。しかし、決して「自分たちで何でもできるオールマイティー」ではありません。そして、神様ではないので、すべての苦痛をゼロにすることが叶わないことはまれではありません。その限界があることを受けとめ自覚しつつ、その中で、患者さん・ご家族、そして相談をくれたスタッフ・先生方のために自分たちは何ができるかを真摯に考え対応するこ山口先生にしつもんQ.山口先生ご自身のストレス解消法は。A.背伸びせず、自分ができることをやっているだけなので、仕事でストレスを感じることはそんなにないんです。何でもできるわけではないですし、自分にできることをやろうと心掛けている(できないことはできないとあきらめている(笑))からかな…。「しんどいな」と思った時は体を動かすようにしています。でも、子どもと遊ぶことが一番のストレス解消法かな。Q.法学部に入っていたらどんなことをしていたでしょう。A.僕は田舎の「村」出身で、村のために自分がいいと思うことがしたいと思っていました。小さい村の村長さんなら物事も動かせるかなと思っていました。残念ながら合併で「町」になってしまいましたが(笑)。Q.緩和医療を専門にされた理由は。A.いろいろな分野を勉強し、結局絞り切れず総合内科を選びました。内科救急を中心とした急性期の現場でしたが、高齢者が多く、たとえ状態が良くなっても病気は治癒せずに残っているケースが非常に多いということに気付きました。「急性期を乗り越えた後にできることや必要なことがあるのでは?」と考え始め、次第に比重が緩和医療に軸足が傾いてきました。Q.なぜ医学を志されたのですか。A.それまでは法学部や経済学部に行こうと思っていたのですが、高校3年生になってから単純に「医学・医療っておもしろそうだな」と思ったんです。明確な理由・転機があったわけではないんですが、今思えば、そのころ、NHKの番組で淀川キリスト教病院の柏木哲夫先生のお話を聞いていたので、そういうのも影響したかもしれませんし、現在の緩和医療への道につながったのかもしれません。とを心掛けています。大学病院には各専門医がいますから、その力を貸してもらってどこまでできるかを一生懸命考えています。また、緩和ケアチームの一員として、主治医の先生方や病棟スタッフをサポートして、チームがいい形で輪になり患者さんのQOL向上に役立ちたいと思っています。89
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