KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年2月号
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患者さんのこれからの人生をサポートする「緩和ケア」。私たちにとっては〝目からウロコ〟の考え方と現状を緩和医療専門医の山口崇先生にお聞きしました。―緩和医療専門医の役割は。重篤な疾患を持つ患者さんに、より良いケアを提供して治療後の生活を少しでも質の高いものにすることを目的とする「緩和ケア」という領域の中で、主に医療的側面から関わるのが私たち緩和医療専門医です。―大きな領域をカバーしているのですね。患者さんやご家族への対応には多角的アプローチが必要です。そこで、医師だけではなく、看護師、薬剤師をはじめ、栄養士、リハビリテーションセラピスト、ソーシャルワーカーなど幅広い職種のスタッフが力を合わせてチームとして対応します。―「緩和ケア」と聞くと、末期の患者さん対象というイメージがありますが…。以前は治癒を目指す治療が難しくなった段階での心と体のケアと捉えられていたので、そういったイメージを持たれると思います。現在は、診断でショックを受けたときの心理的サポートから、手術・化学療法・放射線治療など病気自体の治療中でも、治療に関連する痛みなどの症状緩和や心理的なサポート、また従来から緩和ケアの対象とされていた終末期の「ホスピスケア」まで、全ての患者さんを対象とした領域を「緩和ケア」と捉える考え方に変わってきています。―対象はがん患者さんですか。緩和ケアががん患者さん対象に発展してきて、現状でも我々が関わる患者さんの大多数ががん患者さんというのは事実です。しかし、2002年(20年前)にWHOが提示した緩和ケアの定義に「生命を脅かす疾患に直面している患者さんとその家族」を対象とし「痛みや身体的・心理的な問題を早期に発見して対応することで苦痛を予防してやわらげQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させ神大病院の魅力はココだ!Vol.6神戸大学医学部附属病院緩和支持治療科山口 崇先生に聞きました。86

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