だったことを伝えている。1930(昭和5)年3月8日に神戸を出港した「らぷらた丸」に乗船し、移民たちとともにすごした作家の石川達三は、収容所に入所するところから、ブラジルに到着し新たな生活を始めるまでを小説『蒼氓』につづっている。それぞれの立場の違いによる葛藤や船中でのストレスをいかに和らげていったかなど、移民の実態を伝える貴重な資料だ。石川はこの作品で、第1回芥川賞を受賞した。神戸からの移民船によるブラジル移住が終了したのは1971(昭和46)年。国立移民収容所は何度か名前を変え、同年に「神戸移住センター」としてその役割を終えた。2009年、建物は、国内で唯一現存する移住関連施設の保存を兼ね「神戸市立 海外移住と文化の交流センター」として開館。館内に「移住ミュージアム」を開設し、国立移民収容所設立当時の神戸の街並みや移住の歴史などを写真や展示物で伝えている。明治から現在まで、日本から世界へ移住した人は約104万人。そのうち、神戸港からの移住者は約40万人。うちブラジルへは約25万人が神戸の港から船出をした。今やブラジルでは、200万人に上る世界最大の日系社会が形成され、4世、5世、6世の時代となった。日本とブラジルの交流は、一般財団法人日伯協会らの手によって、さまざまな形で続いている。神戸からブラジルへ25万人海外移住と文化の交流センター 移住ミュージアム所在地:神戸市中央区山本通3-19-8TEL.078-230-2891開館時間:10時〜17時(移住ミュージアム)休館日:毎週月曜日(祝日の場合開館、直近の平日に休館)、年末年始入館料:無料https://www.kobe-center.jp写真展開催中「日本を旅立つ最後の日々in神戸」〜ブラジル移民に思いを馳せる〜2022年3月27日まで参考資料☆日伯協会会報「ブラジル」993号 (日伯協会 創立95周年記念号)☆『蒼氓』(復刻)石川達三著、 秋田魁新報社☆国立国会図書館「ブラジル移民の100年」 https://www.ndl.go.jp/brasil/index.html☆一般財団法人日伯協会 http://www.nippaku-k.or.jp/日本移民ブラジル上陸記念碑(ブラジル・サントス)75
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