湊山小学校は開港間もない1873年、当時の石井村の悲願叶って創立。初等教育の近代化に大きく貢献し、多くの卒業生を輩出したが、2015年に神戸祇園小学校に統合されて141年の歴史を閉じた。その後、跡地活用事業者の公募があり、村上工務店が選ばれた。「実はね、僕もここの卒業生なんですよ」と語るのは、プロジェクトを統括する村上工務店の社長、村上豪英さん。「もともとこの場所は、平清盛が住まった雪の御所の庭の地点と言われています。天王谷川と石井川に挟まれてその合流点に近く、女性の子宮の位置に見立てられ、何かが生まれる場所として選ばれたのだそうですよ」と、この由緒ある土地にありきたりの施設を建てるのではなく、清盛の思いを承継するように斬新な発想で計画を編み出した。湊山エリアは戦前、神戸が急成長した時代の〝ニュータウン〟として開発され、戦災や震災で部分の解体時には「湊山OPEN SCHOOL」というイベントを開催、懐かしの学び舎に別れと感謝を告げるべく、多くの人たちが集ったという。バス道からの入口に面する「顔」の一部に壁面緑化をおこない、エレベータを設けてバリアフリーにも心を砕く。見学会時は基礎的な工事が終わりつつある段階で、どう変貌するか楽しみだ。その1階には園芸家が運営するハーブショップが出店。庭の管理もここのスタッフが担うとのこと。その隣、もと給食室はクラフトビール醸造所となる。銘柄は「Open Air」。アメリカ人の醸造家が腕を振るう国際的なブリュワリーとなりそうだ。2階は雪御所児童館の分館として学童保育施設が、3階には小規模保育園が入り、地域の子育て拠点としても機能する予定。また、3階には就労支援施設も入居。庭の手入れや醸造所の作業などにも参画し、施設に欠かせない存在となるに違いない。校舎の再生では一部黒板や棚、階段や窓のしつらえなどが残され、油と歴史が染み込んだフローリングも再利用される。壁の傷も残されたまま。思い出も未来へと受け継がれる。PICNIC GARDENは誰でも気軽に利用できる憩いのスペースに。もともとある楠の古木を残し、芝生や畑なども広がるとか。また、池も設けられ、釣りが楽しめるようになるという。ちなみに西館は高齢者福祉施設や医療機関、レストランなどが入る計画で、数年後には地域の福祉健康拠点となるだろう。兵庫区北部の活性化も視野に1月16日の見学会64
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