KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年2月号
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美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞受賞。横尾忠則現代美術館にて「横尾忠則の恐怖の館」展を開催中。http://www.tadanoriyokoo.com小説を先取りして、20数点の挿絵を瀬戸内さんに預けて旅行に立った。王朝時代の知識など全くない僕は、仏教的な絵や、時にはUFOの絵など描いた。UFOの絵には困られたそうだが、僕に言わせればいつの時代にもUFOは人間を宇宙から監視しており、特に戦乱の時代にはしばしば地上に飛来していたはずだ。だからSFでもデタラメでも何でもない。その時代のドキュメントである。そんな風に思って読む読者はひとりもいない。瀬戸内さんの書く小説の時代の背景にも、宇宙は見えないところで関与していたのである。まあそんなわけで、瀬戸内さんは随分困られたようであるが、読者は「なんでUFO?」と想像して、きっと楽しんでくれたと思う。「幻花幻想幻画譚」2015年19

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