KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年2月号
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ようと思ってハワイやニューヨーク、ニューオーリンズに取材をしたが、一点も絵にしたいY字路に出会わなかった。長々とY字路の話をしてしまったが、現在、美術館ではさらに第3弾のY字路展が準備されていて、カタログの文章もすでに執筆されて、あとは展覧会を待つのみである。僕もしばらくY字路から離れているが、展覧会時には数年ぶりに新作を発表したいと思っている。さて、「続・Y字路」展の次の展覧会は、昨年逝去された瀬戸内寂聴さんの時代小説「幻花」の挿絵の原画全371点を展示することになった。原画は小さいので、それを拡大して「小説世界の中を彷徨うようなインスタレーション」を演出。初日には瀬戸内寂聴×浅田彰×横尾の鼎談が企画されて、会場には溢れんばかりの観客が詰めかけた。瀬戸内さんは、それ以前もそれ以後も度々、展覧会のオープニングに顔を見せてくれて、瀬戸内ファンを大喜びさせた。この新聞小説「幻花」の連載中に僕はインド旅行をすることになって、まだ書かれていない「横尾忠則 続・Y字路」2015年18

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