KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年2月号
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を何度も見たことがある。この中央の家は左右2本の道路に挟まれていて、住居としての環境はどうかと思うが、この場所を利用して交番が設置されていることが多い。見通しの点からいっても交番は最も立地条件にふさわしいだろうし、交番に飛び込んでくる車もそう多くはないだろう。このような使い道の悪い道路が僕の絵の主題になったというわけだ。ニューヨークのタイムズスクエアは、世界で最も有名なY字路である。マンハッタンの縦と横に区切られた碁盤の目に、ズバッと斜めに道路が走っているが、それだけで無数のY字路ができてしまう。このような高層ビルの間に出来たY字路は、どこも似たり寄ったりの風景になってしまっているので、僕の描くY字路のモチーフにはなりにくい。パリの凱旋門を中心に放射線状に走る斜めの道路によっても無数のY字路ができているが、パリの都市構造上、どこも似たような建物ばかりでこれも絵にはふさわしくない。僕も国内のY字路だけではなく、海外のY字路もモチーフにし左から平林恵さん、横尾、横尾夫人17

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