KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2022年2月号
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Ferrari Mondial T Cabriolet『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』:主演 アル・パチーノ(主演男優賞、オスカー賞受賞作品)登場車両: フェラーリ・モンディアルT カブリオレandcarsMovie 盲目の退役軍人フランク・スレード元中佐(アル・パチーノ)と名門校の高校生チャーリー(クリス・オドネル)との交流を描いた作品。フランクは自身の世話のためにアルバイトに来ているチャーリーをニューヨークに連れ出す。飛行機はファーストクラス、車はリムジン、ホテルはウォルドルフ=アストリア、という豪華な旅行。ラウンジでドナ(ガブリエル・アンウォー)と見事なタンゴを披露、名曲ポル・ウナ・カベーサが心に残る素敵な場面です。フランクが敬愛するフェラーリの試乗シーンではチャーリー(ビギナー)が操縦した際のぎごちなさを見事に表現しながらもフェラーリのV8サウンドとデフの唸りまで再現、チャーリーのナビゲーションを頼りにブルックリンを疾走する場面はモンディアルの素性の良さを見せてくれます。この旅行の最後にフランクは自殺を図るが、ピストルを手にしたフランクを必死に止めるチャーリー、二人の涙に心を打たれる。終盤の校長に対して真の高潔さを訴えてフランクが論破する場面は爽快で見ている側も思わず喝采してしまう。各処にちりばめられた香水や女性の香り(セント・オブ・ウーマン)に関するコメントがお洒落で面白く映画にエッセンスを効かせてくれます。ラストシーンはボストンの郊外、リンカーンリムジンを望遠で追う撮影にこだわりを感じる。音に映像、ストーリーと見事なコンテンツで構成された名画です。フェラーリ・モンディアルT カブリオレ1980年に308の4シーターモデル「モンディアル8」としてデビュー、デザインはピニンファリーナ。最終モデルがモンディアルTであり、エンジンは348系(3,400cc、V8から3348となる)、従来のエンジン横置きから縦置きにしたことが大きな改良点、ミッションは横置きにしたことで「T」トランバースの文字が入る。4シーターで後部トランクのあるモデルでありながらも走りはフェラーリの名に恥じない素晴らしい性能を誇る。高回転域のシンフォニーを聴きながら、300馬力NAの操縦は唯一無二。(NA:ノーマルアスピレーション、自然吸気エンジンでありターボなどの過給機無しを意味する)文・株式会社マースト 代表取締役社長 湊 善行10

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