KOBECCO(月刊 神戸っ子)2022年1月号
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病床削減が想定より進まなかったため、「再編・統合等に向けた再検証が必要な公立・公的医療機関」として436病院の実名を公表しました。しかし、今回のコロナ禍ではこれらのうちかなりの病院が新型コロナ感染症の患者、あるいはその治癒後のリハビリ患者を受け入れ、地域医療に大きく貢献したんですね。ですから、今回の状況をしっかり踏まえ、地域医療構想を見直す必要があります。もちろん、新興感染症に対してどういう医療体制をとっていくのかを考えていかないといけません。兵庫県ですと第8期の保険医療計画になりますが、それまでの5疾病5事業から、6事業目として新興感染症対策が入ってきますので、しっかりと計画してもう一度地域医療構想を議論していかないといけません。─兵庫県は広く、地域の多様性に富んでいますので、調整も大変でしょうね。空地 医師が少ない区域は基幹病院がしっかりしていますので、そこを中心にしてまとまりやすいですが、市町が多くそれぞれに公立病院があるところはまとまりにくい可能性があります。しかし、そういうところも今回のコロナ禍で、医師会・公立病院・行政がうまく連携して対応できている印象があります。ですから、感染症対策という観点からは一概に公立病院を統廃合すべきとはいえず、なかなか難しい情勢がこれから待っているのではないかと思います。─団塊の世代が後期高齢者になっていく2025年が3年後に迫っています。空地 これまでの地域医療構想の調整会議は、少子高齢化が進み、ゆえに疾病構造が変わり、地域のニーズも変わっていく中で、それに合わせた調整を目指していました。ところが、今回の新型コロナウイルスで、新興感染症に対する対策や有事の体制が甘かったことがわかったので、それについても対応しながら地域医療構想を進めていく必要があります。今後、人材育成をおこない非常時に対応できるようにしていくので、医療圏ごとの有事の体制も整ってくる見込みです。地域医療構想は医療圏単位で完結するのが基本ですが、現段階では複数の医療圏で非常時に対応することも視野に入れて、今後も基幹病院を核に周辺の医療機関が連携していく形がベースになるでしょう。平時・有事の両面に対応できる強靱で柔軟な医療提供体制をまとめていかないといけないと考えています。─地域医療構想において県医師会はどのような役割を果たしていきたいですか。空地 できることはあらゆることをやっていきたいですが、有事のこととなるとスピード感が大切です。県医師会はさまざまな病院や診療所はもちろん、看護協会や薬剤師会、歯科医師会ともしっかりと繋がりができていますし、行政とも連携しています。日本医師会を通じて厚労82

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