KOBECCO(月刊 神戸っ子)2022年1月号
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まだまだ油断は禁物─コロナは急に落ち着いていると感じますが、不思議ですし不気味ですね。空地 第5波がなぜ急速に収まってきたのか、専門家ももうひとつわからないそうですが、ワクチン接種が順調に進んでいることと、日本国民がマスクを着用したり三密を避けたりと新しい生活様式を守っていることが確実に結びついているでしょう。第6波が来るか現段階ではわかりませんが、日本より先にワクチン2回接種をおこない感染者数が減ったイスラエルやヨーロッパ各国で再度感染者数が上昇していますし、新たな変異株が出現する可能性もあり、まだ油断はできません。ですから、これからはじまる予定の3回目のワクチン接種、いわゆるブースターが大変重要になると思います。─その後も何度もワクチン接種が必要なのでしょうか。空地 3回目の後については、現段階でも中和抗体というすごくよく効く点滴がありますし、今後飲み薬の治療薬が出てくると一般のインフルエンザと同等の扱いになってくるのではないかと思われます。ただし、それがいつになるかはまだわかりません。─ここ2年、医療機関は大変でしたね。空地 いろいろな影響がありました。新型コロナ患者を受け入れた医療機関のみなさまは、バッシングや風評被害に悩まされる状況で、防護具や消毒薬が無く、ワクチン接種が始まる前から対応していただき頭が下がる思いです。彼らの頑張りがあったこともあり、日本はロックダウンせずとも致死率を低く抑えることができたのではないかと思います。医療機関全般で一番大きいのは、経営面での打撃です。コロナ以降、どの医療機関も10~30%の減収があり、中でも小児科と耳鼻咽喉科が大きな影響を受けました。─それはなぜでしょうか。空地 いわゆる「受診控え」と、なるべく外出をしないよう長期処方を求める患者さんが多かったことが関係していると思われます。2020年の全国の年間医療費の総額は前年比1.4兆円ほどのマイナスになっています。その中で診療所の減収は4千億円ほどと、影響は数値にも出ています。─開業医の負担も大きかったのではないでしょうか。空地 地域外来・検査センターへの出務があり、その後発熱等検査・診療医療機関として県内1300近い医療機関に手を挙げていただき発熱患者の診察、さらにワクチン接種がはじまり自院や集団接種会場で対応していただきました。出務だけでなく、自院でもこれまでにない対応を迫られ、かなり疲労があったと思います。ここ2年で閉院が増えたように感じますし、新規開業も少なかったですね。地域医療構想の見直し─地域医療構想はコロナの影響がありましたか。空地 2019年に厚生労働省は、地域医療構想に基づく81

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