KOBECCO(月刊 神戸っ子)2022年1月号
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有馬温泉の起源とは?神話の世界から語り調子でザッと読み流す、湯の街有馬のヒストリー。有馬温泉史略有馬温泉史略第一席日本三古湯の一角である有馬温泉でございますが、意外にもその歴史を概略的にまとめた最近の文献資料はあまり多くないもので、そこでこのたび僭越ながら、本誌編集部が有馬温泉の歴史を連載で紹介することにしましたので、しばしお付き合い願います。さて、温泉と言えば火山がつきものというイメージですが、関西には活火山がない。なのに熱い湯が涌くのはなんじゃラホイ。実は有馬温泉というのは火山性温泉ではなく、珍しいプレート性温泉というやつで、地下60 kmでプレートに熱せられた水が断層の割れ目を伝って沸き出でたようなんです。プレートは血の気が多い男どもみたいなもので、基本的に若いほど熱いものだそうでして、アチアチの有馬のプレートは世界一若いんだとか。といっても2千5百万年前ですけどね。ちなみに火山や火山性温泉の多い九州のプレートは5千万年前ですから、それと比べりゃ確かに若いんでしょうが。それでもホモ・サピエンスの誕生が20万年前とか30万年前とかいわれていますから、そのずーと前から有馬温泉の湯を沸かすプレートがあった訳で、当然その頃から生きていた人はいないし、記録もないのでわかりませんが、有馬温泉は我々よりもパイセンだという可能性は大いにある訳ですよ、みなさん。じゃ、開湯、つまり人に発見されたのはいつになるかというと、これまた本当かどうかは知る由もありませんが、有馬神社の古刹、温泉寺の縁起にこんな話があるんです。それはそれは神代の昔、大オオナムチノミコト己貴命と少スクナヒコ彦名ナノミコト命が人々を病から救うべく、薬草を探して全国をめぐっていたところ、有馬の地にやって来たら、傷ついた三羽の烏が湧き出ている赤い水を浴びてケガを癒やしているのを見つけ、それが温泉であることと発見いたしました、とさ。118

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