KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年12月号
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に仏教の素晴らしさに魅せられて、生きるための智恵だなと思ったんです。仏教はほとんどの悩みに即応している。なのに、多くの人はそのことを知らない。生きるための智恵として、仏教のことを知ってほしいなという思いが芽生えてきて…。─それでYouTubeで法話を。小池 我々より下の世代は家に仏壇のない世代で、日常生活で仏教に触れる機会が少ない。そういう若者にどうやってリーチしようかと考えていたときに、YouTubeで法話を配信しないかと電鉄商事の山端秀明さんに声をかけていただいたんです。4年前ですから当時29歳で、仏教界ではひよっこ。おこがましさを出さず謙虚に、29歳の自分だからできる低い目線で発信しようと。─それがいま、登録者数が4万人以上に。小池 始めた当時はYouTubeチャンネルがほとんどなかったのでニュースになり、それでだんだんと視聴者が増えて。若い人を狙っていたのですが、蓋を開けてみたら7割方が65歳以上、狙いが外れているんですよ(笑)。嬉しい誤算です。去年はコロナもあって、視聴者から手紙が300通ほど届きましたが、すべてに返信しています。ハッピーな内容はほとんどないですが、そういう方々に届いているんだなと。ある不登校の中学生は私のYouTubeを見て仏教に興味を持ち、高野山高校に入ってこの春得度したんですよ。YouTubeきっかけでお坊さんが一人生まれたんです。地道に発信しいくことで、「法話」と聞いて「面白そう」と思ってくださる方がだんだん増えてきたのではないかと思います。─今後、どんなチャレンジをしていきたいと思いますか。小池 寺子屋をやりたいと思っています。仏教はこれだけ多大な影響を日本文化に与えているのに、仏教のことを知らない日本人が多すぎます。布教や勧誘でなく、仏教的な考え方や、お釈迦様や弘法大師のことなど、仏教に関するエピソードを伝えたい。そこからは生きるためのヒントもたくさん得られます。とにかく子どもたちや若い人とお寺との接点が少ないので、それをつくって「生きるための仏教」の間口をもっともっと広げていきたいですね。「H1グランプリ」ラジオ関西ラジオ法話お大師様の縁日法話 須磨寺小池陽人の随想録大本山須磨寺神戸市須磨区須磨寺町4-6-8TEL.078-731-0416YouTubeは狙いが外れたが…41

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