KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年11月号
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実は近畿が世界最新?日本の温泉の多くは火山性です。ところが、有馬温泉やその周辺の宝塚、武田尾、神戸の灘温泉は火山性ではなく、有馬型温泉とよばれる特徴ある非火山性温泉になります。有馬型温泉は日本に有馬周辺しかなく、世界でもほとんど例がありません。有馬の泉質の特徴に、まず塩分濃度が高いことが挙げられます。舐めるとわかりますが、海水よりずっと塩辛い。また、炭酸も多く含んでいます。プレートは表面が海水と反応しますから、いっぱい海水を持っていますので、それが絞り出されているのではないかと考えられます。一方で、九州も近畿・中国と同じくフィリピン海プレートが沈み込んでいますが、火山が多く、別府や霧島など火山性温泉もたくさんあります。ところが近畿・中国はまばらで、活火山は2つだけです。そこで、沈み込んでいくプレートの性質をみてみましょう(図1)。九州パラオ海嶺が宮崎の沖から延びていますが、これを境にプレートの年代が違い、近畿・中国のある東側が2500万年前より新しいプレート、九州のある西側が5000万年前より古いプレートになります。それが火山や温泉の違いに結びつくのではないかと考えられそうです。ところが、この境目が九州を斜めに通っているので、別府や阿蘇は新しいプレート側に入っていることになって話が合わなくなります。でも実は、新しいプレートは少し西向きに振って沈み込んでいるので、境界は少し東にずれ込んでい九州パラオ海嶺を境に、中国・近畿側が2500万年前の新しいプレート、九州側が5000万年前の古いプレート。これが温泉の違いに結びつくと考えられる図181

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