KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年11月号
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ティングルームに改装しました。窓はアルミサッシでしたが、92年前にそんなものはありませんので木の窓枠に戻しました。でも断熱のためにペアガラスを入れています。古材もふんだんに使って、歴史を引き継いでいこうと。古いものを大切にする文化のイタリア人ですから、修復はお手のものです。旧館と道向かいの「空のダイニング」は我々八光グループのものではなく、神戸市民のものだと考えています。地域のみなさまが楽しんでいただけるような憩いの場をつくって喜んでいただこう。それがコンセプトなんですよ。森の中に隠れる       新ホテル新しく建てるリングホテルは、コロナの影響で流動的ですが早ければ2023年、遅くとも24年に完成予定です。実は敷地内に7階建てのホテル棟があったんですよ。それを見たミケーレさんは「この森まなんだ!」と怒りだして(笑)。そして彼は当時建築した竹中工務店の古い図面を確認しながら、天井裏に上がったり、ドリルで壁に穴を空けたりして、どういう構造かチェックしていましたが、たびたび改修していたみたいで、ミケーレさんの指示で床を剥がしたら素晴らしい階段が出てきたんです。腐っていた床や柱は全部交換、耐震基準に達していなかったので補強もして。昔の設備なので部屋が小さく宿泊には向かないと判断し、ギャラリーやミー生はみなさん壊すのが前提で。近代化産業遺産に登録されている名門ホテルの再生、これが第一義的な目的でしたので、修復案を提案してくれたイタリア人のミケーレ・デ・ルッキさんにお願いしたのです。旧六甲山ホテルの建物、六甲山サイレンスリゾート旧館は92年前に建てられた歴史的価値のある建築です。長いことクローズしていて傷んでいたんですよ。ミケーレさんはすぐに見に来てくれたのですが、「このすばらしいところを何で日本人は放置したま2025年の完成を目指す池の畔のカフェ77

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