KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年11月号
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ありますよね。いずれそんなふうになればいいですね。「続けていくこと」に意味を持つプロジェクトです。僕は神戸に住んでいましたし、友だちも多くいます。今でも色々な出会いをもらっています。神戸が大好きです。人の心がもっともっと豊かになるようなお手伝いができたらいいな、と思っています。同じ思いをもった仲間がいますし、サポートしてくれる企業もいます。街、劇場、人を繋ぐこと。指揮者である僕のミッションです。「オペラde神戸」のお話ですが、『椿姫』のみどころを教えてください。美しいけれど、悲しさを伴った冷たい序曲。孤独感を感じる造花みたいなチェロのメロディ。始まりから引き込まれると思います。純愛ドラマです。主人公ヴィオレッタの心の描写と、体調や顔色までも音で表している。一つの楽器やメロディではなく、合唱、アンサンブル、で、複雑に作り上げるのがベルディの凄さです。アリアはとっても有名。聴いたことあると思いますよ。オペラって実は色んなところで流れているんです。作曲家ベルディはどんな人?ベルディはオペラを作曲するために生まれたんでしょうねぇ。楽器、歌手の能力を知っているし、観客の心理を読む天才です。3時間ほどの劇の流れを作るのが、とにかく上手い。引き込ませる、酔わせる、飽きてくる頃に音楽が鳴り出す。譜面の量は交響曲の倍以上ありますが、完璧ですよ。一度「レクイエム」を聴いてみてください。死者のための鎮魂歌ですが、もうね、オペラです。聖書の世界、「最後の審判」の恐ろしい情景。人のうねりの中、トランペットが1本、2本…計7本が鳴り響き、火が燃え上がる。ミケランジェロの絵みたいに、天国と地獄を劇場という空間を使って表現しています。聖書を読むだけでは実感できない部分を感じることができます。「オペラde神戸」への想いを教えてください。多くの市民と素晴らしいソリストがそろいました。プロとアマチュアが協力しあって作るオペラは、街の文化をより豊かなものにしてくれると思っています。豪華な衣装やセットじゃなくてもオペラの本質は伝わります。地方には、街の人が作る歌舞伎が「オペラde神戸」公演情報日時:2022年1月7日(金)18時開演、8日(土)15時開演会場:神戸文化ホール 大ホール演目:ヴェルディ作曲 歌劇『椿姫』主催:神戸市・(公財)神戸市民文化振興財団特別協力:兵庫県立芸術文化センター 後援:兵庫県プロデューサー:井上和世 演出:井原広樹お問い合わせ:公益財団法人神戸市民文化振興財団TEL.078-351-3397https://www.kobe-bunka.jp/operadekobe31

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