KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年11月号
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いう建物は全て破壊され、ビルの壁の一面だけがかろうじて立っており、焼けただれた樹木と電柱、そして工場の煙突だけが、ガランとした空間の中に冷んやり突っ立っていた。そして遠くに大阪城だけが映画のセットのように残っていた。焼け野原は神戸も同じだったと思う。は一生のうちにそうなんべんもあるようなものではない。第二次世界大戦で物凄い数の人が犠牲者になった。終戦後の神戸も壊滅状態だったと思う。満員列車の中のわずかな人と人の隙間から見る神戸も一面焼け野原だった。僕が唯一強烈に記憶しているのは、大阪の省線電車の中から見た大阪城の風景である。まるでパニック映画のラストシーンのようだった。建物とところでこの「昭和NIPPON」展は、僕の過去の作品を通じて昭和の時代を振り返るという企画展で、青森県立美術館からの巡回展だが、展示構成はかなり異なった結果になったようだ。会期中に「あがた森魚ライブ」を開催。無料イベントだったこともあり、大入り満員の大盛況となった。終戦をはさんで社会的状況は一変してしまった。こんな体験横尾忠則 肖像図鑑 2013年 横尾忠則現代美術館美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞受賞。横尾忠則現代美術館にて「横尾忠則の恐怖の館」展を開催中。大分県立美術館にて「GENKYO横尾忠則」展を開催する。(12月4日〜2022年1月23日)http://www.tadanoriyokoo.com21

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