KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年11月号
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た。この展覧会はこのまま川崎市市民ミュージアムに巡回することになった。会期中に開催された開館1周年記念対談は瀬戸内寂聴さんとの対談が行われ、観客が殺到して、1階のオープンスタジオに入りきれないほどの大盛況だった。さて、次の第5回展は、横尾忠則の「昭和NIPPON」展である。僕は昭和11年に生まれた。この年の2月26日、青年将校ら1400人が政治中枢を制圧するという、いわゆる2・26事件が起こった。僕が生まれる4ヵ月前である。やがて世界は動乱に巻き込まれていく。そして昭和16年、日本海軍、真珠湾を奇襲、ついに太平洋戦争へ突入。その4年後、東京大空襲が始まり、昭和20年、広島に原爆投下、8月15日終戦。小学3年生だった。あんなに恐怖していた空襲の予感は終戦と同時にケロリと忘れてしまい、進駐軍らのジープが町に入ってくると、ジープのあとを追っかけたものだ。僕とほぼ同年の美空ひばりの「悲しき口笛」や「東京キッド」がわれわれ横尾忠則の昭和NIPPON 2014年 横尾忠則現代美術館美空ひばり1966年 兵庫県立美術館19

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