KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年10月号
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皮膚、骨、筋肉、血管、神経…体を構成するさまざまな部分が関係する形成外科。今回は、外来で担当しておられる政岡先生に「まぶた」について詳しくお聞きしました。―形成外科で治療や手術をする「まぶた」とはどの部分?基本的に「まぶた」は眼球を覆う器官であり、機能的な問題や見た目の問題がある場合に治療や手術をします。目を開け閉めする時には通常は「上じょうがんけんきょきん眼瞼挙筋」で上まぶたをもちあげますが、その筋肉が機能しなくなると、おでこの筋肉「前頭筋」を使います。その神経は眼の奥ではなく、耳の辺りから皮膚の下を通ってまぶたに向う神経になります。手術はまぶたに限らずその周辺のいろいろな部分が関わってきます。―「眼瞼下垂」。患者さんは多いと聞きますが、原因は。目の奥の筋肉の力が弱くてまぶたが下がり、目が開けにくい先天的な眼瞼下垂やコンタクトレンズ、中でもハードコンタクトの長期間使用に起因するケースがあります。目を開け閉めするには上眼瞼挙筋が伸びたり縮んだりしてまぶたの瞼板を上げ下げしますが、結合部分「腱膜」が緩んだり、瞼板から外れたりして開けにくくなります。そして原因として多いのは加齢による筋肉の衰えです。―どんなことが起きるのですか。上眼瞼挙筋が衰えると、腱膜がたるみ、瞼板部分が伸びてきます。それと同時に皮膚もたるんできますから、上まぶたを持ち上げるだけでは皮膚が上がらないので、前頭筋を使って一生懸命上げようとします。すると、おでこに横向きの深いしわが入ります。見た目が気になるだけでなく、首や肩までつながっている前頭筋を無理に使い続けると原因不明の頭痛や肩こりに悩まされることもあります。また、まぶたがかぶさってくると視界の上方向が見にくくなり、目の機能にも支障が生じます。―予防する方法はありますか。治療法は。ハードコンタクトが原因ならばソフトに変えてみたり、めがねをかけてみたりできますが、残念ながら加齢によるたるみを予防する効果的な方法はないのが現状神大病院の魅力はココだ!Vol.3まぶたの形成外科政岡 浩輔先生に聞きました。78

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