KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年10月号
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―今日は江口さんにはオンラインでご参加いただいています。表紙がシアターみたいで、思わず手に取りたくなる本ですね。江口 ありがとうございます。表紙はオープン当初からボランティアで月刊スケジュールチラシのイラストを描いてくださっている朝野ペコさんです。私自身、ペコさんの大ファンで、本を制作するとなったとき絶対ペコさんにって、お願いしました。 制作は主に、ペコさん、装丁の駒井さん、プロジェクトのメンバーである住田、私の4人で行ったのですが、出版社の方との打ち合わせも含めて、ほぼオンラインでしたね。林 10周年の本ができるだけでも嬉しいのに、こんな素敵に仕上がって、感激しています。江口 林さんはプロジェクトの側ではなかったけれど、支配人だし、日頃からよく本を読み、買われるひとなので、私の中で林さんに喜んでもらえるのが、ひとつの基準になっていました。裏表紙の絵もはじめは、映画館に来る人が一人だったのが、林さんが「少ないのはいや!」って(笑)。そんな風に皆の気持ちがたくさん入った本です。―お二人の関係は?林 実はオープンより前に出会っていたんですよね。私は、元町映画館にかかわる前は西宮の実家近くで、カフェやギャラリーで上映会を主催していて、それを観に来てくれていたんです。その後、江口さんも映画ライターとなって取材してくださり…。そして昨年、ついに運営にも携わってくれるようになった、という長い関係です。江口 そう、徐々に近づいていっている(笑)。―元町映画館ってどんな場所ですか。林 一言で言うなら、「多様な映画を上映していて、映画にまつわるイベントもたくさんしているミニシアター」なんですが、いつでも何か面白いことをやってる、カルチャーの発信地でありたいと思っています。―江口さんは、映画ライターの目で、元町映画館のラインナップをどう見られていますか。江口 シネフィルの方が好むような作品はもちろん、ドキュメンタリーもあれば、ちょっとエロっぽいのやスプラッターもある、本当にいろんなものをやっているなと。林さんも本の中で答えているのですが、お客さんの方が「この映画館ってドキュメンタリー多いよね」とか「よくB級やってるよね」と、それぞれの元町映画館イメージを持ってくださっている気がします。 上映作品は、林さんが中心となって選んでいるのですが、さりとて「私の目利きで…」と偏るのではない、また、若い才能を積極的に育てようという気概があるのが魅力です。コロナ禍で興行的にはしんどいことを覚悟してでもその姿勢を貫いていると感じます。映画館を超えた、カルチャーの発信地を目指して。37

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