コロナ」への提言など、現代を生きる作家として、コロナに対する覚悟、気概などについて教えてください。筒井 『ジャックポット』という短篇は、それらとは切り離したところから書きはじめた作品で、コロナをテーマにしてどこまで言語遊戯ができるかの実験です。『ダンシングオールナイト』はテーマがジャズになります。現在はコロナの現状を追う形で『ジャックポット』の続篇の『コロナ追分』という掌篇を書き継いでいます。適当な時期に発表しようと思っています。尽きない創作意欲―最後に収録された「川のほとり」は、御子息の伸輔さん(昨年₂月、がんのため51歳で死去)との夢の中での再会が描かれています。筒井さんらしく、悲しみや絶望の中にも、ユーモアを込め、明日を生きるための希望を込めた作品だと感じました。家族を失い悲しみにくれる読者(と実験小説でコロナに挑む―次に今年春に刊行されたSF短編集「ジャックポット」についてお聞かせください。 ₂017年から₂0₂1年初めまでに発表された短編作品を読み進める中で、改めて、作品が書かれたその時代背景を意識させられます。日本そして世界中にコロナ禍が蔓延していく社会の恐ろしさを実感します。筒井 コロナ禍については小生、自然による人口調節であろうと思っています。それは勿論、人間ひとりひとりの死は自然による人口調節でもありますが、今のところまだ人口淘汰と言えるほどの数ではありません。―とくに₂0₂0年後半に発表された「ジャックポット」、「ダンシングオールナイト」には、そんなコロナの脅威にさらされる社会の混乱ぶりが描かれています。「作家」としてコロナ禍に直面した思い、執筆にいたったモチベーション、さらに「アフター新潮社1,760円(税込)27
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