KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年10月号
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筒井 これはやはり最初に見た時の感動に左右されますので、今見た感動というのは過去の感動の想起になります。こんな程度の映画だったのかとがっかりすることはほとんどなく、細部の確認になります。古い映画を山ほど見ていますので、『今から見ればどうのこうの』という感想は殆ど持ちません。あれは生まれた時から新しい映画に囲まれていた人の感想でしょうね。―筒井ファン、映画ファンにとっては、この本の続編ともいうべき「邦画編」や「現代洋画編」なども、ぜひ読みたいところですが、その構想について教えてください。筒井 『邦画篇』や『現代洋画篇』などはもっと詳しい人が書くべきでしょうね。小生が書くとすれば『ドタバタ喜劇の快楽』でしょうか。しかしこれも小林信彦が書いていますし、私もすでに『不良少年の映画史』で書いていますので。ルタの鷹』は高校時代に千日前グランドで、『カサブランカ』は終戦直後に電気科学館で……と言ったところです。全部は書けません、お許し下さい。―今回、この書を書くために、これら多くの映画を「DVDで何度も見返した」と書かれています。筒井さんが80代となり、改めて現代日本で鑑賞し、感じたものとはどういうものか? 新たな発見、または昔抱いた感想との相違点などがあったのか? 今どう見られるべきか……抱いた思いを教えてください。 青春時代、リアルタイムでは、その映画にどのように接し、どう見たのでしょうか。筒井 映画のひとつひとつ制作年代が違いますので、私の見た年齢や場所もまちまちです。『活劇映画と家族』の順序でお答えしますと、最初の『白熱』は梅田シネマ(御堂筋の、梅田新道に近い場所)で、高校時代に、『血まみれギャング・ママ』は作家になってからテレビの洋画劇場で、『前科者』は乃村工藝社にいた頃テレビの洋画劇場で、『ハタリ!』は乃村工藝社にいた時、梅田地下劇場で、『マ講談社現代新書924円(税込)26

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