KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年10月号
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ら書けるのかと問われ、今までに書いていないものは、書きたいものはといろいろ考えた末、この『活劇映画と家族』に思い至ったという次第です。―ハワード・ホークス、ジョン・ヒューストンらハリウッドの名匠の傑作の数々が登場します。筒井さんにとっては「古典ではなく、我が青春の思い出」と語り、生き生きとそれらの作品を論じられているのが興味深いのですが、 新作の小説や映画に新譜…。これら創作物が、漫然とこの世に生まれることはない。いずれも創作者たちが大切に温め蓄えてきたアイデアや知識を駆使し、紡ぎ出された想像力の結晶だ。「新たな物語が始まる瞬間を見てみたい」。そんな好奇心の赴くままに創作秘話を聞きにゆこう。第12回は作家、筒井康隆さん。〝SFの巨匠〟が伝える現代への警鐘THESTORYBEGINS-vol.12作家筒井 康隆さん⊘ 物語が始まる ⊘して未来への展望とは…。―まずは、新書版の新作『活劇映画と家族』について。筒井さんは古今東西の映画への造詣が深いことで知られていますが、どういう経緯からこのテーマで書くことになったのでしょうか?筒井 これは現代新書から『愛妻物語』をテーマに何か書けと言われ、お断りしましたところ、ではどんなテーマでな映画青年でもあった文学青年かつて日本人が誰も読んだことのなかったSF文学を日本に根付かせ、確固たるジャンルとして築きあげた巨匠。9月に87歳となったが、その創作意欲は衰えを知らない。コロナ禍とあり、今回はリモートとなるメール取材での特別編。映画への思い、新作へ懸ける飽くなき創作魂、現代社会へ投げかける警鐘、そ24

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