KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年10月号
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対できないような美術の枠を取り外した企画を、次々と導入する方針を自由の行動を通して特色づけることをこの美術館の「常識」にしてしまいたいと考えている。美術館が自由であるためには僕自身がより自由でなければならない。そういう意味でこの美術は僕に対して大きい負荷をかけているように思う。第3回展でリピーターも増えてきているので、毎回手を変え品を変えながら新しい企画に取り組んでいる学芸員にこちらも答えなければならない。人生の終わりに大きいお荷物を背負ってしまったが、何が起こるかわからない未知に対して新しい冒険が始まったと思っている。させるインスタレーションは大変評判を呼んだようだ。この展覧会の企画は嘱託員の作花麻帆さんによるもので、学芸員だけのキュレーションではない、企画者の自由度を外部に対してもアピールする結果になった。さらに従来のカタログを出版社協力によって頁を自由に切り抜ける絵本的な「えほん・どうぶつ図鑑」を発刊するという新しい試みに挑戦した。この横尾忠則現代美術館は常に自由な行動によって、他の美術館では絶の作品のイメージを変質させてしまうような制作現場を公開することで、作品は常にプロセスの途上にあることを示した。さらに第3回展は「横尾忠則どうぶつ図鑑Yokoo‘s Yokoo Zoo」と題して、この美術館と隣接する神戸市立王子動物園とコラボして、実際に動物園で飼われていた動物の剥製を展示した一風変わった不思議な会場を演出させることに成功した。美術館というより自然博物園の様相を呈して、一瞬ドキッと「横尾忠則どうぶつ図鑑」展 会場風景美術家 横尾 忠則1936年兵庫県生まれ。ニューヨーク近代美術館、パリのカルティエ財団現代美術館など世界各国で個展を開催。旭日小綬章、朝日賞、高松宮殿下記念世界文化賞受賞。横尾忠則現代美術館にて「横尾忠則の恐怖の館」展を開催中。http://www.tadanoriyokoo.com23

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