KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年10月号
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席できないこともあった。でも美術館の職員たちは、そんなに心配しているように見えない。頭髪が真白になるとか、髪が脱毛して、入れ歯になって杖をついて歩いてもおかしくない年齢だけれど、どう考えても老画家のような風貌とはどうも程遠い。さて、開館第2回展は「横尾忠則展ワード・イン・アート」と題して、作品の中に描き入れた文字に着目した展覧会で、現在、甲南大学文学部人間科学科教授の服部正さんが当館在籍中に手掛けた彼の唯一の企画展だった。僕は作品の中にしばしば文字を導入するクセ(?)がある。かつてグラフィックデザイナーだった頃の慣習ではと思う人がいるが、全く関係ない。引用される文字は、時には全く意味のない言葉である場合が多い。文字を造形の一部として書き込むことで、従来の絵画に違和感を与えてみたいという絵画に於ける一種の遊戯性と考えている。この展覧会のイベントとして公開制作が企画された。すでに出来上がった過去の作品に、再び文字を描き込むことで、当初「横尾忠則どうぶつ図鑑」展 会場風景22

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