KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年8月号
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―子どもにとってのあこがれの世界ですね。でも、学校と親がない世界でも、何かを学んでいくことは大切でしょう。こそあどの森では、ポッドさんやトマトさん…周りの大人たちが必要なことを教えてくれる。母親的なもの、父親的なものから解放されて自然に誰かがそれをカバーしてくれる世界なんです。もちろん親とか学校を否定するわけじゃなくて、楽しい世界を考えたら、そういうのがない世界だったというわけでね(笑)。親って度が過ぎてしまうこと、あるでしょ。“適度な距離感”っていう面でいえば、図工の先生と子どもたちという関係も、こそあどの世界の関係に少し似ているなと思っているんですよね。―シリーズ6巻の『はじまりの樹の神話』が劇団四季のファミリーミュージカルとなって上演されますね。嬉しくありがたいお話です。ほかにも、僕の作品を上演してくれている劇団がありますが、ある方が「演劇というのはテーマがなくちゃいけない。岡田さんの作品にはテーマがあるから」って話してくださったそうです。僕としたら、ただどうしたらお話が面白くなるかって考えて書いているだけなんですがね(笑)。―どんな舞台になるか楽しみです。これからの活動は。漫画とおはなしを組み合わせた何かできないかなとか、したいことはたくさん!児童に向けて書きたいと考えてはないですが、結局僕はそうなってるみたい(笑)。言葉や絵で描かれた面白いもの、それは僕が楽しいから書いているんであって、子どもたちがそれを読んで「世界って楽しいかもしれない」と思えるような作品を作れたらいいなと思います。だろうとは感じます。そんな子どもたちですが、演劇クラブの最初の練習で、「姿勢をこうして声を向こうに投げかけるようにやってごらん」と言うと、一生懸命その通りにやってみますよね。一時間の終わりに子どもたちの声が随分違ってくる。「あっ、先生の言う通りにやってたらこんなに変わるんだ」ということが体感できたら、帰りしなに、「ありがとうございました!」って帰っていく。実学的なところで感動できれば、大人に対する信頼みたいなものが生まれるんじゃないかと思うんです。まあ、いつも成功するわけじゃないんですけどね。―大人の側も努力していないと先生と子どもの関係も成り立たないですね。そういうと、「こそあどの森」には、親子ってでてこないんです。夫婦や兄弟はいるけど、ふたごにいたっては誰が育てているのかわからない(笑)。そして、学校もない。48

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