シリーズ自体は、僕が最初にスケッチブックに下絵を描き始めた頃から数えると25年。4年前に12巻で完結しました。なんで12巻かっていうと、僕の好きな『ドリトル先生』や『アーサー=ランサム』が12巻で完結しているから(笑)。12巻も続けていると初めのうちは妖精たちがしているあれこれをのぞき見している感覚だったのが、いつの間にか、登場人物がみんな実在の知っている人みたいになっちゃって。まあ、そうやって等身大で捉えられるようになったのが、やめるきっかけでもあったんですが。―どうしてもう一度書こうと思われたのですか。4年たって、読者の方から「あの世界にもう一度行きたい」というお声をいただいたりするようになって、僕自身も「あの人たちに会いたい」という気持ちが強くなったんです。でも一度完結した作品だから、13巻目になる今回は違うアプローチにしようと、短編集の形でこそあどの森の大人たちが子どもだったときのお話を書きました。5人分、5冊のスケッチブックを用意して、それぞれの子ども時代を考えるのは楽しかったです。―皆、個性あふれるキャラクターですものね。実はね、第1巻からキャラクターってできあがってはいないんですよね。1巻ごとに事件が起こって、「この登場人物はこんなこともするんだ」と僕にも分かっていくというかね。人物がどんどん立体的に造形されていくんですね。ただの面倒見のいいおじさんであったポットさんが、意外とリアリストだったりして、僕が「へぇ〜」なんて思っている。―巻を追って成長していくのだと思っていました。主人公のスキッパーも、もちろん少しずついろんなことができるようにはなっているんですよ。でもスキッパーは、自分一人で本を読んだり、星を眺めたりして過ごすのが好きなんです。第一巻からそこは絶対に変わらない。必ずしもみんなとうまく付き合えるようになることが成長とはかぎらない。 書くときに特にメッセージなんて考えてるわけじゃないんですが、そういうタイプの子を応援したいというか、まあ僕がそういう子どもであったかもしれないし(笑)。君たちの味方であるよとは伝えたいなと思っています。―最近の子どもたちと接していて感じることは。本質的な部分は変わったとは僕は思わないですね。もちろん、アンケートをとると、「きらいなもの:先生のつまらないギャグ」と書いてくる子なんかいたりしてね、そんな時は思います。昔の子だったらきっと書かなかっただろうなあ(笑)。大人と子どもの関係でいえば、いまの子たちはずいぶんフラットにとらえているん47
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