KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年8月号
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実は、『神戸っ子』の生みの親の小泉美喜子さんから名前を拝借しました(笑)。当時、ご本人にも伝えたんですが、覚えておいででしょうか。―『月刊神戸っ子』に初めて書いたのはいつですか。まだ大学生だったころ『星泥棒』という漫画を描いていたんですが、教授が「面白いやつがいる」って、『神戸っ子』の小泉さんに紹介してくれたんです。そしたら「じゃあ、描いてみる?」って。―漫画からスタートされたのに、どうしてお話を書くようになったのですか。僕はずっと小学校の図工の先生をしていたでしょう。授業―新刊『チョコレートのおみやげ』は、1976年の『月刊 神戸っ子』の連載がもとになって生まれたお話なんですね。そうなんですよ。僕はその頃、『神戸っ子』ではずっと漫画を描いていたんですが、半年ほど趣を変えて見開きの絵本のようにしたおはなしを書いていた時期があったんです。その一話が『気球乗りの鶏』でした。このはなしは、書き終えてからももっと深めてみたいなぁという思いが残っていてね…。それでその数年後に、日本児童文学者協会から各都道府県の創作童話をおさめた本を作りたいとお話をいただいたとき、『気球乗りの鶏』を膨らませようと思ったんです。僕が好きな神戸の、坂道や異人館や風見鶏、港…それにチョコレート(これも神戸っぽい!)を組み合わせたおはなしにしよう、と。ですから、おはなし自体ぜんぶ"神戸"でできた、チョコレートのものがたり。は22年前には完成していたんですよ。このお話は、僕の得意とする“話中話”(お話の中に入れ子のようにお話がある形式)のスタイルで、神戸っていう僕の一番好きな場所の話で…と思い入れも大きくて。なんとか一冊の本にできないかと思っていたところ、この度、実現できてとてもうれしいです。―はじまりから数えると45年もの歳月を経て、一冊の本になったのですね。植田真さんの絵もまた詩的で、大人がゆったり読みたくなる本ですね。植田さんも神戸にお住まいで、神戸のBL出版さんからの発売でしょう。 全部神戸でできた本なので、ぜひ神戸の人たちに手に取っていただきたいなあと思っています。―最後の、みこおばさんとゆきちゃんの会話に心がきゅんとしました。図工の先生×漫画家×演劇=児童文学作家・岡田淳45

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