KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年8月号
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「想い出はモノクローム 色を点けてくれ」ということばの向こうのストーリー。「松本の詩じゃないと駄目なんだ」と言った大瀧詠一。日本の「ウォール・オブ・サウンド」の最高峰の音。全てが私の感情を揺さぶります。哀しみと友情の先に生まれたこの曲が世に出て40年。これからの40年も眩しいままであり続けるはずです。1973年夏、大学生になって初めての夏休み、友人たちと北海道旅行の間、車の中でずっと聴いていたのが「はっぴいえんど」のアルバム「HAPPY END」でした。Spotifyで「はっぴいえんど」を探し当てて聴くと、たちまち1973年にタイムスリップし、広大な北海道の道のように人生は果てしなく続くと信じていた「あの頃」に戻ることが出来ます。大人になった私に「HAPPY END」は今も勇気を与えてくれます。奥田真珠貿易 奥田 京子チーニーカリー 有村 早永㈱日比谷花壇 風見鶏の館 明星 守トアロードデリカテッセン 古家 純子紫煙の漂い、大音量のFree Jazz、苦悩を浮かべるブラックコーヒー。いつしかソコに身を置く自分。しかし、TBSのザ・ベストテンが始まると、今日の一位を気にする自分が現れる。『銀河鉄道999』の8週連続1位を阻止したのが、『セクシャルバイオレットNo.1 』いつしかカラオケのレパートリーに。そんな学生時代'79年のヒット曲。奇しくも、風見鶏の館はこの年に一般公開が始まるのです。中学の合唱コンクールで歌いました。当時の私はまだ恋をしたことがなく、「煙草の匂い」は嫌いだけれど、その匂いが好きな人からしたら、イヤにならないものなのか、と疑問に思っていました。また「あなたが時計をチラッとみる」場面を想像しては自分も泣きたい気分になっていました。そんな自分の思いを込めて歌ったこの曲は見事優勝し、クラス全員で喜んだ忘れられない思い出です。君は天然色セクシャルバイオレットNo.1赤いスイートピーHAPPY END はっぴいえんど編集者・作家 松田 素子神戸の透明な光の中を歩いていると、ふっと「風街」が見えるような気がします。小さな路地あたりには確かにそれがひそんでいるようで、わざとそこを歩きたくなります。不思議なモザイクのような街だからでしょうか。そんな街で「KA・ZE・を・あつめて…」と口ずさむと、なにか思いもかけないことが起こりそうで、それは、むかし歌ったときの気分とはどこかちがってて……なんだかちょっとドキドキします。風をあつめて39

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