KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年8月号
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―「Y字路」の源泉は兵庫県西脇市の風景とお話しくださいました。新作の「原郷」も西脇市にありますか?Y字路は確かに郷里の西脇が発祥ですね。新作の色の明るさももしかしたら織物の町の西脇の伝統と無関係ではないかもしれません。頭で考えて描くより、その時の気分や感性にゆだねるので、時には「ええーッ、こんな絵が出きた」という経験も結構多いですね。―“問題作”と言われる作品も神戸で始まって 神戸で終る 〈特別編〉展覧会「GENKYO 横尾忠則     原郷から幻境へ、そして現況は?」―世界が重く沈んでいた中での作品ですが、色が明るく優しい印象です。この1年で心の変化を感じることはありましたか?そうですね。確かに色が以前に比べると明るくなったかもしれませんね。あまり使わなかった黄色とかピンク、オレンジ、黄緑、青色なんかが増えたかもしれません。言われてみて初めて色が明るくなったことに気づきました。暗い世相の反動ですかね。絵は無意識が関与しますからね。―2020年〜21年の新作を初公開。作品点数の多さに驚きました。『WITH CORONA』の600点と新作制作。どんな生活を送っていらしたのでしょうか。コロナ禍の1年半はほとんど外出もしないでアトリエに籠ったきりで、絵を描いていました。コロナ以前からもあまり外出することもなかったので、緊急事態宣言で自粛を強いられても生活のペースは全く変わらなかったですね。だから作品の点数が増えたんだと思います。Tadanori Yokoo美術家横尾 忠則撮影 筆者東京展(東京都現代美術館)が始まりました。「画家宣言」から40年。絵画を中心に、初期グラフィック作品を加えた500点以上の作品と2020年から制作された新作30点(来年、神戸で発表の予定)。横尾芸術の全貌と横尾さんの「現況」に触れることのできる大規模な展覧会です。今月は連載「神戸で始まって神戸で終る」をお休みし、横尾さんへのインタビューと東京都現代美術館・藤井亜紀さんよりいただいた展覧会についてのお話をお届けします。18

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