KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年7月号
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「水際対策」の一環として設置した訳ですが、市中感染が拡大する一方で検査が追いつかなくなり批判を浴びる中、このような保健所からの行政ルートに乗らなくても検査ができる「地域外来・検査センター」が地区医師会の協力で設立され、ドライブスルー方式で唾液をとる等の方法で多くの検査が可能になったのです(図1)。─兵庫県下でもそのような検査センターが役立っているということですね。足立 神戸市での設置はじめ、県の委託施設として、昨年8月末の加古川・高砂PCR検査センター以来、淡路から阪神地区まで5か所ほど設置され、地区の医療機関から直接検査依頼をして、患者さんに行ってもらい検体を採取し、民間検査所での検査結果を知らせていただく形でより迅速な結果対応が可能となりました。 検査センターの設置は有意義なデータの分析にも役立ち、例えば加古川・高砂PCR検査センターでは、設立から本年2月末までのデータを集計することにより、50歳台の男性の陽性率が高い、若い世代の嗅覚異常は(図1)新型コロナウイルス行政検査体制の比較 出典:兵庫県保険請求なし登録医療機関保険請求 初再診料 院内トリアージ加算 診療情報提供料行政検査ア:保健所が主体となって おこなうものイ:保険診療で おこなわれるもの保険請求 初再診料・検査料 判断料・検体採取料保険医療機関指定不要保険請求 初再診料 検査料 判断料感染症指定医療機関地域外来・検査センター帰国者・接触者外来衛生研究所民間検査機関診察・検査をおこなう地域外来・検査センター検査のみをおこなう地域外来・検査センター一般医療機関アのみア・イ行政検査陽性者の確率が高いなどの傾向がわかりました(図2)。─「発熱等診療検査機関」とは別のものですか。足立 はい。前号・前々号で紹介した「発熱等診療検査機関」は個別診療所等でかかりつけ患者さんなどの鑑別検査をおこなうもので、抗原検査などより迅速な検査や届出対応が可能になりました。これにより検査は一気に拡充し、テレビなどで宣伝している自費検査といった精度不明で後の責任のない検査に頼らず、心配なら近くの医療機関に問い合わせできるようになりました。─今後はどうなるのでしょう。足立 ご承知のとおり、これまで説明した方法だけでは問題となっている「変異型」はわからず、さらに詳しい検査が必要です。どんな「変異」で、どの程度の危険性があるものか等迅速に判断できる検査の確立が目指されているところです。(図2)加古川・高砂PCR検査センターにおける陽性率の年代別・男女別分布(%)出典:加古川医師会0510152025%80歳以上70歳代60歳代50歳代40歳代30歳代20歳代10歳代10歳未満2020年8月の設立時から2021年2月までを集計男性女性記事内容は取材日(2021年5月29日)時点での情報に基づいています。新型コロナウイルスに関する情報は日々変化しています。最新の情報は各自ご確認ください。83

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