KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年7月号
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子どもの虐待やいじめの問題には対策が取られてきましたが、ヤングケアラーの問題はあまり知られていませんでした。しかし専門家や教育現場では数年前からこの問題が認知され、研究も始められていました。国でも厚生労働省と文部科学省がプロジェクトチームを立ち上げ、昨年12月から実態調査を始め、今年4月に結果が公表されています。他都市の中では埼玉県がいち早く20年3月に独自のケアラー支援条例を制定し、対策を始めています。−神戸市ではプロジェクト立ち上げから半年ほどで窓口開設に至ったのですね。市内76カ所の地域包括支援センターをはじめ、子どもや学校、介護などの関係各所、支援団体等にヒアリングを実施しました。その結果、上がってきた100件ちかく−いろいろなところでヤングケアラーの支援は始まっているのですか。イギリスでは1990年代から行政がこの問題に着目し、2014年にはヤングケアラーを把握して支援することが自治体の責務であると「子どもと家族に関する法律」で明確にされました。日本ではの事例から、ヤングケアラーの存在が大人たちに周知されていない、困っている子どもがどこに相談したらよいのか分からないという実態が見えてきました。そこで、対策の一つとして相談・支援窓口開設に至りました。−子どもさんからの相談を受けるのですか。子どもさん自身がケアラーであると認識して、行政の窓口に相談するというのはなかなか難しいものです。学校の先生、行政サービス窓口の職員、福祉サービス業者の方、民生委員を含む地域の住人の方など、必要があれば周りの大人からの相談も受け付ける窓口です。開設から1週間で既に十数件の相談を受け、そのうち3件が具体的な支援につないでいく段階まで進んでいます。−どんな体制で相談に対応しているのですか。6名の職員が常駐しています。関係機関との調整を主に周りの大人たちが目を向け、声をかけ、支援へとつなぐ80

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