KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年7月号
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したのです。報道や裁判の経過から、認知症が進んだ祖母が介護サービスを拒否し、全ての負担が女性にかかっていたという背景が見えてきました。肉体的、精神的に追い詰められ、夜中も祖母の世話で眠れないまま迎えたある朝、祖母からの暴言に耐えきれず殺害に至ったのです。20年9月、殺人の罪は問われたものの、「強く非難できない」とし−ヤングケアラーとは。ケアを必要とする家族の介護や精神面のサポート、大人に代わって家事や家族の世話を行っている子どもを指します。法律などで規定されているわけではなく、一般的には18歳未満とされています。神戸市では問題を抱える年齢層が幅広いという認識から、就学前児童から20歳代の若い人たちも含め「こども・若者ケアラー」と呼び、支援の対象としています。−神戸市で取り組みが始まった経緯は。2019年10月、神戸市で痛ましい事件が起きました。当時21歳の女性が同居し介護していた90歳の祖母を殺害一人で抱え込まないで!「こども・若者ケアラー相談・支援窓口」開設神戸市 福祉局 政策課こども・若者ケアラー相談・支援窓口担当課長(社会福祉士)岡本 和久さん子どもや若い人たちが家族の世話や介護に自分の時間の多くを費やし、やりたいこと、やるべきことを諦め、我慢しているヤングケアラーの実態が明らかになってきています。6月1日に開設された「こども・若者ケアラー相談・支援窓口」担当課長の岡本和久さんは、「相談できる場所があることをケアラー本人と周りの大人たちに知ってほしい」と話しています。市内で起きた事件を機に始まった支援プロジェクト78

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