KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年7月号
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の営業マン、菅谷を兵動さんが、客の林田を吉弥さんが演じ、毎回、騒動が起きる…というドタバタ人情喜劇。「シリーズとなり、兵動さん演じる菅谷さんは同じ設定ですが、私が演じる客の林田は名前は一緒ですが、毎回、違う人物なんです」今回の林田は、いったいどんなキャラクターなのかも興味津々。二人の丁々発止のセリフの掛け合いが〝丸尾不動産ファン〟を増やし続ける原動力に違いないが、毎回共演するゲストも大きな魅力のひとつ。新作では吉本新喜劇の〝永遠のマドンナ〟こと未知やすえさんが、ゲストとして初めて登場する。「以前からテレビのバラエティー番組などで共演したり、同じ阪神タイガースファンとして甲子園球場へ一緒に応援に駈けつける間柄。仲良くやってきただけに、未知さんとの初共演はとても楽しみにしているのですが、舞台では勝手は違うと思います」と、台本読みやリハーサルを前に、〝競演者〟として早くも緊張感を漂わせる。すると、その隣から今回も演出を務める木村さんが、「吉弥さんと兵動さんという笑いのプロのコンビによるお芝居。きっと稽古場は笑いに包まれている…と想像するでしょう?」と聞いてきた。「それが、実はまったく笑いがないんですよ」と吉弥さん、木村さんの二人は苦笑しながら声を揃えた。「どうやったら、より面白い芝居になるか?セリフ合わせの段階から、みんなで真剣に激しく意見を出し合いながら、毎回、舞台を作っているんです」と吉弥さんは説明し、こう続けた。落語の導入部の〝枕〟にたとえ、「高座では、その日のお客さんの反応を見ながら、笑わせるために、次々とアドリブで話題を変えていくこともできますが、舞台では一切、それがないんです。アドリブはありません」稽古の段階では、「どんなアイデアも自由で、それぞれ思いついたアドリブを出してもいいが、その中で繰り上げ、最終的に完成させた脚本は、本番では一切変えていない」のだと、この舞台での鉄則を教えてくれた。米朝師匠の故郷で今回、大阪公演に加え、初めて大阪を飛び出し、姫路公演が決まった。「実は姫路は私にとって特別な地なんですよ」と、姫路公演に懸ける熱い思いを語り始めた…。大阪府茨木市で生まれ、府47

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