KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年7月号
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プロジェクトを起ち上げた経緯を教えてください。コロナ禍、僕が心を痛めていたのは、学校で音楽の授業をするのが難しくなった、ということでした。みんなで歌を歌うこと、リコーダーを吹くことも難しくなりました。そこでPACと一緒に、学校の先生を助けることができないか、と考えたのが始まりです。僕たちが作る動画を使って音楽の授業をしてほしい、と。そこで、数年前に芸文センターで行った定期演奏会の映像を元に、様々な解説、楽器紹介、それからオーケストラを分解して、詳しい曲の意味なども盛り込んで、なるべく皆さんにオーケストラの醍醐味を感じてもらおうと思いました。2006年から中学1年生を芸文センターに招き「わくわくオーケストラ教室」を開催しておられますね。今回はそのYouTube版?ちょっと違うんです。僕たちにとってもっと多くの意味を持つプロジェクトになりました。芸文センターには、管弦楽団の他にもスタッフがいます。照明、音響、大道具。普段は舞台裏を支えてくれている人たちです。公演がキャンセルになり、彼等は本業ができなくなりました。これは何とかしなければいけない、と各セクションから人が集まって話し合いました。リモートでも話し合いはしてきましたが、人と人が顔を合わせて話し合うって本当に大切なことだなぁと、心から思った、いい時間でした。昨年取り組んだ「HPACすみれの花咲く頃プロジェクト」(*1)もそこで生まれましたし、本来、劇場は夢を届ける場所。心の広場でなくてはいけない場所。しんどい時こそ、劇場から何かを届けなければいけない、と再確認することができました。そして、芸文センターから音楽を届けよう!と、それぞれのジャンルを越えての動画作成が始まりました。妖精パックのデザインもスタッフ。撮影もスタッフ。台本は僕。このプロジェクトは、中学1年生だけで41

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