KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年6月号
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多分、親父はショックだったのね。天地も割れんばかりにショックだったと思う。俺が変な絵ばかり描いてるのは知ってたけど、今度はこう来たかと思ったんじゃない? 僕が小学校一年生のときに黒いコンテで描いた絵も、見た途端に破いちゃった。いい意味でも悪い意味でも、過激な親父だったけど、でもあの時、親父が“魔法使い”を破壊したから今僕がこういうことをやっているんだって思ってます。僕も負けん気が強いからね。とことんやってやるぞって燃えた。―卒業後、東京での生活はどうでしたか。赤坂の割烹料理屋に住み込みで働きました。僕の屋根裏の部屋からビートルズが泊まっているホテルが見えてね、女の子たちの歓声が夜どおし聞こえてた。街宣車がきて「ビートルズの髪を切れー」なんて騒いでたりもしてたね。こっちはヒッピーの絵描きみたいな生活で、仕事が終わるとリズム&ブルースの店に踊りに行っ―コージさんのお面好きは、その頃からなんですね(笑)。なぜ裸足?それは、裸足で歩いて地面と交信するって目的だったんだけど、ガラスの破片や釘が落ちてて痛くってね。女子高生に笑われるし…、だけど「他人と違ったことをする」というのが第一目標としてありましたから。―ご両親は理解があったのですか。母はね、僕が“人工衛星”から変な言語でラーメンを注文したら、変な言語で「了解」って答えて、ラーメンを作って出前してくれるような人でしたね。ある日、僕の母の弟のおじさんが瓦粘土を大量にもってきてくれたんですよ。で、はりきっちゃって、等身大の魔法使いを作ったんですよね。深夜一時頃に完成したのかな。油絵の具を塗って、ろうそくを立てて、火をともして。それが、朝起きたら粉々に破壊されていたんです。母に聞くと、親父が、見た途端に足蹴りにして粉々にしちゃったって。『コーベッコー』BL出版本体価格¥1,600+税『天のすべりだい』BL出版本体価格¥3,200+税『北守将軍と三人兄弟の医者』(宮沢賢治/作)ミキハウス本体価格¥1,900+税30

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