KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年5月号
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センスと器用さだけでは通用しない―原岡先生は以前、赤ちゃんの形成外科手術を見て「この手術がこの子の長い人生をハッピーにする」と感動した、とお話しされました。元村先生はなぜ、形成外科を専門に?元村 学生のころ、先輩の原岡先生が形成外科へ進むと聞き、「整形の間違えとちがうか?」と思いました(笑)。まだ形成の授業もなかったころです。調べてみたら、「身体の失っ的センスで手術が上手くできるというものではないですし、不器用だから手術が出来ないというわけでもないと思いますよ。原岡 イメージをデッサン画にする先生の絵を見ると「上手だな」と思うことがあります。「手術がうまいな」と思う先生が器用だということはあります。だからといってセンスと器用さが必須というわけではないでしょうね。元村 「僕は不器用なので形成外科に向いていないでしょうか?」と聞く学生には、「形成外科は手術が上手くて当たり前。形成外科医になると決めたなら努力して上手くなれ!!」と答えます。学問は学びと努力。私はそう指導をしています。メスを持つ外科医は患者さんに最後まで責任を持つべき―形成外科医になるきっかけを作った先輩が神戸大学に行くことになったとき、元村先生の心境は。た部分をつくり直したり、くっ付けたりする。すごいなあ!」と。私は脳外科か整形外科に進むつもりでしたが、進路変更しました。―お二人とも絵を描くことがお好きとか。形成外科医には芸術的センスや器用さは必要ですか。元村 絵は描きますが、形成外科学という学問ですから感覚だけではできません。学問に裏付けられた基本の上に成り立っています。したがって、芸術48

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