KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年5月号
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大切だからです。愉しいバルーンに関わっていきたい。とはいえ、演技を見せたいわけではない。そこでパフォーマンスではなく、場を演出する“デコレーター”として、皆に喜んでもらおうと考えました。バルーン演出の勉強をして、娘のお誕生日会などの飾りつけをしていると、うちの子のお誕生日会でもとか、サロンのクリスマス会でも、という具合にどんどんパーティを演出する機会が増えていきました。やがて知らない方からの依頼も来るようになり、展示会での飾り付けやイベント装飾、ウエディング、開店祝い、発表会など、趣味でお手伝いしていた世界から少しずつお仕事になっていきました。…多賀さんがお仕事としてスタートされた2000年頃、私はフランスで暮らしていたんですが、海外の方のパーティに対する熱意に驚いたことをよく覚えています。子供のバースデーパーティならば、ブローニュの森や動物園など会場を厳選して、色々な演出を企画するんです。私も自分の息子の時に日本からヨーヨーを取り寄せて釣り上げるゲームなどを企画しました。子ども達やお母さん達にも喜んでもらえ、自分もワクワクして。パーティは準備段階から既に楽しいですよね。招待するゲストやプレゼントする相手のことを思い浮かべ、どうすれば喜んでもらえるのかと考えるワクワク感がありますよね。私も誰かを想う気持ちをバルーンと一緒に届けたいと願っています。…出張のバルーン演出に加え、お店も構えるようになったのは?実はもったいない!を発端にしているんですよ(笑)。バルーンを膨らませるガスはレンタルなので使い切って返そう!と、家にあるバルーンを全部膨らませてみたんです。バルーンで満たされた部屋を見て、すごく幸せな気分になったんですね。他の人にもぜひ、この幸せ気分を身近に味わってほしいと思って、お店のオープンを決意。場所も良かったと思います。芦屋をはじめ阪神間には、バルーンを面白いと理解してくださる方がたくさん住んでおられ、多くのお客様に支えていただきました。…バルーンを売って利益を出そうとビジネスライクに始められたわけではないんですね。こういうお仕事って本当に楽しい!と思っている人でなければ、その魅力をみんなに伝えることが難しいですよね。多賀さんがバルーンの作品を作るうえで気をつけていることはありますか。ギフトでもデコレーションでも、依頼していただいた方の想いにぴったりな表現ができるよう心がけています。美しさや可愛らしさという見た目に限らず、ボリューム感だったり、サプライズ感だったり。どんなことを幸せと感じられるかを読み取ることがポイントです。バルーンというモノを売っているのではなく、喜んでいただくサービスを売っている、そこに価値を感じていただければ嬉しいですね。その方にとってのベストを作りあげるために、とにかくお客様のことを理42

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