KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年5月号
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だけでなく、先住民の写真も多く展示する予定です。厳しい環境の中で自然から恵みを得て生きてきた彼らの暮らしや世界観も、写真を通じて感じていただきたいですね。─なぜオオカミを追い求めるのですか。大竹 もともとジャーナリスト志望で、大学でワンダーフォーゲル部に入り自然に興味を持ち、伝えるなら自然のことだと思うようになりました。そこで初めてカメラを手にし、何をテーマにするか悩んでいた大学4年の秋、夢にオオカミが現れたんです。その直後にアメリカの写真家、ジム・ブランデンバーグのオオカミの写真集と出会い、弟子入りを志願して会いに行きました。結局、弟子にはなれなかったのですが交流は続き、受賞作の序文をお願いしたら快諾してくれて。─オオカミと出会うのは難しいのではないでしょうか。大竹 現地に行けばオオカミの足跡やフンはそこら中にあるんですが、会えないんです。彼らは警戒心が強く、人間には見られたくないと思って生きているので。ですから20年通い続けて、会えたのは10回くらい。そのうち半分は、僕の姿を見ただけですっ飛んでしまう。怖くないのかとよく言われますが、童話の37

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