KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年3月号
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みんなが「ネット販売をしている」という状況にあり、仲間でありライバルでもある。そんな中で「安く、早く届けるから選んでください」とは言いたくない。だから、フェリシモならではの企画で勝負すれば価格競争に入り込む必要はないと考えています。社会のニーズを追うことはせず、社員たちが本当に作りたいと思うものを作り、欲しいと思う人だけが買う。ミッションドリブンよりもっといい、「パッションドリブン」を追い続ける企業でありたいのです。―パッションのある人材が必要ですね。規模だけが大きな企業にはなりたくない、スーパーニッチの集合体でありたいと考え、人材を採用するにあたっては学歴や資格も見ますがそれを採用基準にはしません。面接はお見合いのようなもので、「この人と一緒にいたら楽しそう」という観点でお互いが選考します。そうすると、自分というものを持っていて、本当にやりたいことがある人材が集まってきます。人がいるから街がある。街は人が使うツールの一つ―海のすぐ近く、素晴らしいロケーションですね。神戸朝日ビルにオフィスを置き26年、私は海の近くで仕事をしていると思っていました。ところがここへ引っ越してきて、「全然海の近くになんかにいなかったんだ」と初めて気づきました。そこで思ったのが、神戸市民の皆さんは神戸が好きで、その理由を「海と山があるから」と答えます。でも本当に海に触れていますか?神戸市民ならば、週に1回ぐらいは旧居留地辺りから散歩や自転車でここまで来て海に触れるべきです。そうすればウォーターフロントに勝手ににぎわいが生まれます。―いいアイデアはありますか。コロナ禍で時短営業を強いられて苦しんでいる飲食店さんに出店してもらって、京橋線沿いにマルシェをつくったらいいんじゃないかな。フェリシモ社員はじめ、ここへやって来た企業の社員さんたちがランチを食べに行ったり、お弁当を買いに行ったりすると思いますよ。週末にも人が集まるようになって、にぎわうんじゃないかな。―これからの神戸の街への期待をお聞かせください。私は「神戸は生活文化の都」だと思っています。150年前に開港していろいろな文化が入ってきて、伝統のあるものと程よく混じり合って日本中に発信する翻訳機能を果たし、「ハイカラ」などといわれてきました。神戸経由で入ってくることもなくなってきている中でも、常にリードする存在であり続けるには、暮らしや自然や週末の過ごし方など、他の街の人たちが羨むようなものがなくてはいけません。それは企業や行政が作るものではなく、市民が自発的に作るものです。街があるから人がいるのではなく、人がいるから街がある。人が街をツールとしてうまく使えば、もっと輝く!フェリシモもそのツールの一つになりたいと思っています。33

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