KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年3月号
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でいる人の身だしなみも奇麗になり、それが子どもたちにも伝わっていく。商売のまち大阪とはちょっと違うかな(笑)。久元 大阪・京都・神戸にはそれぞれ特徴があり、良さがあります。例えば、京都には他には真似できない長い歴史があり、明治以降に住んだ人など「新参者」ですからね(笑)。神戸は明治の開港など、港町としての歴史があります。開かれたまちだからでしょうか、ずっと住んでいる人も、新しくやって来る人も一緒になって何かおもしろいことを始められるまちだと思っています。子どもたちも知らない人とコミュニケーションが取れる、新しいことにチャレンジできる、そんな雰囲気がありますね。安藤 生まれ育った人たちが、「このまちで良かった」と誇りを持てるまちであり、また外から来た人にとっても、魅力のあるまちだと思います。ノーベル賞を受賞された山中伸弥先生も、大阪で生まれ育ち今は京大におられますが、神戸大学出身ですから、「神戸は第二のふるさと」だといつも話しておられます。この個性的なまちをもう少し活気づけるためには市民一人一人が考えなくてはいけない。私たち民間人ができることで、少しずつサポートしたらもっと良くなるはずです。私は、まちの未来はそこで育つ子どもたちの元気に掛かっていると思います。そこで、神戸の子どもたちが、幼いころから良質な本と出会うことができ、豊かな感受性を育めるような施設をつくってはどうかと考えたのです。―そこで、子どもたちのために図書館を造っていただけることになったのですね。安藤 きっかけは、カーネギーホールをつくったことで有名なアンドリュー・カーネギーです。彼は子どものころ貧しくて大変な苦労をしています。新聞配達の合間に本を読み、それを生きKOBECCO安藤忠雄×久元喜造対 談 202122

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