KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2021年2月号
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「安さんは学生時代、8ミリカメラで自主映画を撮るほどの映画好き。きっと映画化を喜んでくれているはず」と京田さんは満足げに語る。劇場版では、安さんの兄役で出演した歌手の森山直太朗が書き下ろした主題歌がエンドロールで流れる。震災時、安さんは神戸大学医学部の精神神経科助手だった。映画では、なぜ、安さんが新作の小説や映画に新譜…。これら創作物が、漫然とこの世に生まれることはない。いずれも創作者たちが大切に温め蓄えてきたアイデアや知識を駆使し、紡ぎ出された想像力の結晶だ。「新たな物語が始まる瞬間を見てみたい」。そんな好奇心の赴くままに創作秘話を聞きにゆこう。第6回はNHKエンタープライズ近畿総支社のプロデューサー、京田光広さんとNHK大阪拠点放送局ディレクター、安達もじりさん。震災から26年…風化させてはならない精神科医の願いTHESTORYBEGINS-vol.6プロデューサー京田 光広さんディレクター安達 もじりさん⑊ 物語が始まる ⑊ということ」が映画となり、現在、全国で公開されている。1995年1月17日の震災発生直後から、神戸で被災者たちの心のケアに尽力し、2000年、39歳で死去した精神科医、安あん克かつまさ昌さんを主人公にした全4話の連続ドラマ。計約200分が、劇場版として116分に再編集され、スクリーンで活写される。ドラマから映画への継承2021年。阪神・淡路大震災発生から26年目の〝1月17日〞を迎えた。昨年、震災から25年の節目を前に、「もう一度、しっかりと震災と向き合いたい」と京田さんが約10年前から構想を温め、制作にこぎつけ、テレビで放送されたドラマ「心の傷を癒す22

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