KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年12月号
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のお洋服を着ても爪がボロボロ、髪がバサバサなのはお洒落じゃない。美しい人生のはじまりは食からという考えで、「絢爛亭」のレシピを基にしながら、普段の食を見直すべく、どこででも買える旬の食材を使った家庭料理をお教えしています。母の絢爛亭の料理を見てきましたので、家庭でもモミジをあしらうとか、霧をふくとか、普段使っていない器に盛り付けするとか、ちょっとした工夫から日本料理の魅力を感じ取ってもらいたいと思っています。また私の料理教室はサロンという社交場で開催していることも特徴の一つ。社交場って同じ価値観の人が集まってくるでしょ。皆が互いに高めあう素敵な時間を共有できます。料理、人や会話、器、お花、絵画、音楽など全てが揃ってこそ素敵な空間となり、そこには文化がつまっていると思うんです。だから私の料理教室では、いざというとき恥をかかないお作法についても触れます。会席料理の場面では、テーブルや漆器を傷つけないように派手な装飾品や腕時計を外すなどの気配りをさりげなく行えると、「この人は教養がある」と思われ、お店の方の対応も変わり、それがスペシャルな時間へとつながっていきます。食事をする相手、料理人、給仕をしてくれた方、さらには食器や設えなどに対しても敬意を払う日本人としての素敵な文化も大切にしてほしいというお話もします。…それこそサロンの真髄ですね。まさに裕子さんはサロンのマダム、お肩書も女将と書いてマダムと読ませるのがいいのでは(笑)。社交界の本質を知っているキラキラしたゴールド感のあるマダム。ゴールドって眩しさだけじゃなく、暖かなイメージもあります。だから裕子さん自身も、この空間も、暖かく繊細で、皆が心地よく過ごすことができる。質の高いおもてなしをずっとされてきた空気が漂っているのを感じます。Q.ハマっているグルメや気になるお店はありますか。A.フルーツを活用した料理です。シャインマスカット&クセありチーズとか、トリュフオイルやナッツと合わせてみたり…、見た目がお洒落で自然な甘さなのも◎。組み合わせの妙を発見して楽しんでいます。気になるお店は「THE BAKE」というパン屋さんです。若いオーナーが焼くパンの味はもちろん、まるで海外のベーカリーに来ているようなワクワクした感覚にさせてくれる空間もお気に入りです。三好さんからの質問コーナー対談ホスト役の三好万記子さん(左)と古屋裕子さん(右)。お座敷的な和と北野異人館らしい洋の世界がミックスされた、オープンキッチンスタイルの素敵なサロンにお邪魔してインタビュー43

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