KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年12月号
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ミリーの場合は、帽子屋さんが空想の帽子を渡してくれるし、スマイルショップのおじさんは「スマイルというものは、こうかんするものだよ」と言います。どちらも、お金を持っていないことで、お金では手に入れられないものを手に入れる話。描いている時は、自分でも気づいていなかったんですが、できてみたら、図らずも同じようなテーマでした。−作品には大人へのメッセージも込められている気がします。「自分はこの絵本に出てくるような大人だろうか」と問われている気がしました。ぼくはいつも作品を作る時は、小さな子どもだけに向けてという意識はなくて、子どもはもちろんですが、それ以上の年齢の方にも読んでいただけたらと思っています。−いつか、神戸の街も絵本の風景に登場することを楽しみにしています。きたむらさとし1956年東京生まれ。1982年にイギリスで絵本作家としてデビューし、以来、イギリスを拠点に世界的に活躍を続ける。約10年前に帰国し、現在は神戸市に在住。絵本作家、イラストレーターとして活躍。デビュー作「ぼくはおこった」でイギリスの新人絵本画家に与えられるマザーグース賞を受賞。「ぼくネコになる」「わたしのゆたんぽ」「ポットさん」などの著書の他、「ふつうに学校にいくふつうの日」では絵本日本賞翻訳絵本賞を受賞。 その他「ぞうのエルマー」シリーズの翻訳者としてもおなじみ33

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