KOBECCO(月刊 神戸っ子) 2020年12月号
28/61

頃は余計なものが入ってない年齢で、「絵、描こう」と言うと、すぐ描くし、率直に反応する。周りを気にしてない年齢で、こちらも楽しくなります。−日本でも、そういうワークショップなどはされるんですか。ええ、日本だと、学校に呼ばれて行くことが多いです。先生自身が本好きだったり、図書館が充実している学校の子は、やはり本好きが多いですね。−最近の子どもたちの本離れなどは、感じられませんか。うーん、それは子どもの問題じゃなくて、大人の問題だという気がします。子どもと本の間には、大人がいるケースが多いですよね。具体的に本のお金を出すのは大人だし、大人が選ぶことも多い。例えば、ぼくがイギリスで行っていた本屋さんでよく見た光景なんですけど、「次、何を読んだらいい?」とたずねる子どもに、ちゃんと応える書店員さんがいた。そういう人がいることが、大切なんだと思います。−新刊『スマイルショップ』のお話の中の街はロンドンですか。はい。あそこに出てくるマーケットはロンドンです。いろんな人種の人が歩いているでしょ。ロンドンって、まさにあんな街なんです。というか、そんなロンドンを、あの絵本の中に再現したかったというべきかな……。EU離脱も拍車をかけて、近頃のイギリスには、多国籍の人を受け入れる空気が弱くなってしまった。そのことへの残念さもあったし、多少、離れてきたロンドンへのノスタルジックな思いもありました。−『ミリーのすてきなぼうし』と『スマイルショップ』の2作品には共通点があるとか。ええ、どちらの子もお金がない。ミリーは最初から持ってないし、スマイルショップの男の子は途中でなくしてしまう。そのことと、そこに、ちょっと粋な大人が介在する。それも2冊に共通することです。スマイルショップ出版社:岩波書店本体価格:¥1,500+税ミリーのすてきなぼうし出版社:BL出版本体価格:¥1,500+税ぼくはおこった 文:ハーウィン・オラム 出版社:評論社本体価格:¥1,300+税32

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る